自信過剰は病気の元?ドリームジャンボ発売中!
Overconfidence Bias — A Story About Human Nature
人には誰しも共通する心理的な特性(癖)というものがあります。「自分は世間の人たちと比べるなら、どちらかというと優秀なほう、なんじゃないか?」なんて、密かに思いがちなのもその一つ。
こういった人間の心理・行動特性についての研究で2010年にノーベル経済学賞をとったのはトベルスキーとカーネマンです。彼らの論文の中で『自信過剰バイアス』(自分の能力に対する過剰評価)をテーマにしたものがあります。たとえば自動車を運転する人に「あなたの運転の能力は車を運転する人たちの中で上位何パーセントくらいと思いますか?」といったアンケートをとると、その回答の平均値は決まって20~30%になるとのこと。本来、50%のはずですから、大半の人が自分の能力を過大評価していることになります。これは人間活動の多くにあてはまるようです。
たとえば最近、NISAなどの影響で、わが国でも株式投資をする人が増えてきました。この株式投資に関しても、多くの投資家が「自分は世間一般の人より素質があるのでは?」との密かな思い込みがあるようです。そのため、あるとき儲かったりすると「やはり自分は投資がうまいのでは?」と思います。それが2回、3回と続くとなると、ますますその思いが強くなっていきます。そのため売買の金額は次第に大きくなり、また売買の頻度も多くなっていきます。行き着く先はギャンブラーと呼ばれる人になる。本当に才能があるのならよいのですが、ほとんどの場合は残念ながら人並みの才能。たまたま幸運が続いたせいで一時的に大金を得たにすぎません。そういった人たちはあるとき必ず失敗します。そしてその時、決まって大きな金額をかけていますから、それまでの儲けを一気に吹き飛ばして大損をしてしまう。ほとんど例外なくこのような悲惨な結果に行きつくわけです。仮に途中で誰かが忠告したとしても、聞く耳持たず。もはやどうにもとまりません。
そして、こうした人たちに共通してみられるもう一つの行動があります。それは、一度損を作ってしまった場合、それを何とか取り戻そうとすることです。そこから、もがき苦しむ地獄のような世界が始まります。途中で目が覚めて諦められればよいのですが、損を出すほど逆に諦められない。そうなると、この人は、いわゆるギャンブル依存症と呼ばれる病気と診断されることになります。
ギャンブル依存症の人のケースは時々ニュースで話題になります。たとえば、もう10年以上前になりますが、大手製紙会社の社長で、会社のお金、数百億円を海外のカジノにつぎ込んで、すべて溶かしてしまった話がありました。最近では超有名野球選手の通訳がやはり億円単位の損をだして大きな話題になっています。彼らは、決して頭がおかしいわけではなく、むしろ知的レベルの高い人たち。前者は東京大学法学部卒のエリートです。
ギャンブル依存症は病気です。しかし、実は多かれ少なかれ、あなたにもその要素があることは知っていたほうがよいでしょう。冒頭で述べた通り、誰にも"自信過剰"の要素があるからです。これまであなたに大儲けの成功体験がなかったのが幸い…、それが表面化しなかっただけのことかもしれません。
たとえば、あなたは宝くじを買ったことがあるでしょうか。宝くじで1億円当たった人の実に7割が破産するとの統計データがあります。彼らはいたって普通の人たちです。たまたま1億円という大金が入ったことで「ラッキー!」とその時は大喜びです。しかしそのうちの多くが得たお金をギャンブルにつぎ込んでしまうというのです。結局当選者のうち7割もの人がすべてを失ってしまうとか。
なので、これまで1億円など当たったことがないあなた。むしろ幸運でした。よかったですね。
さて、先日、街中を歩いていていると、宝くじ売り場が目にとまりました。まさに今、ドリームジャンボ宝くじ発売中とのこと。1等賞金は5億円だそうです。締め切りは今月末だそう。風にゆらめく赤いのぼり旗、"宝くじ"と書かれた、あののぼり旗を見ていると、何か私でも当たりそうな気になってきます。何か奇跡の神様が私を呼んでいるような…。あなたは買いましたか?ジャンボ宝くじ。
なに?買うのを忘れてた?これから急いで買いに行く?そうでしたか。それではどうぞ。でもね、私は遠くからあなたのために祈ってますよ。
「神様…、どうぞ、この方が、間違っても5億円なんか、あたったりしませんように…」とね。

