石井院長コラム|医者ってもう必要なくなる!?AIとロボットの時代

 

石井院長コラム

医者ってもう必要なくなる!?
AIとロボットの時代

The Future of Medicine in the Age of AI


石井院長

AI・ロボット技術

医療の未来

AI、ロボット、ロケット事業などで有名な米国の実業家イーロンマスク氏はAIに必要なデータセンターを宇宙に造るなどと発言しています。人類の宇宙への進出が現実味を帯びてきました。

彼のスペースX社が国際宇宙ステーションへの宇宙船の打ち上げに成功したのは、2012年でした。今から14年前のこと。今後さらに急速に進化していく予感はだれもが共有するところでしょう。

ところで、2012年と言えば私はまだ医学生でした。当時、特に最終学年の6年生ともなれば、ほぼ朝から晩まで試験勉強の毎日です。臨床科目毎(消化器、循環器、整形外科、精神科など)の集中講義が各科2週間ひと区切りにあり、2週目の日曜日に試験があります。そして翌日の月曜日からまた次の科目が始まるわけです。すべて必須科目ですから、1科目でも落とすと卒業できません。卒業できないと医師国家試験も受けられません。ですから、医学生は1日たりとものんびりしてはいられません。

そういった中、試験を終えた後に6-7人が自然に集まって、映画を観に行くという習慣がありました。それが当時の唯一の息抜きでもありました。私は彼らより30歳ほど年上でしたが、時々誘われ一緒に観に行ったものです。皆でその日の試験の答え合わせなどしながら新宿の映画館に向かいます。その日上映されていたのは「エリジウム」という映画でした。マット・デイモン主演のSF映画(主役は有名俳優でしたがヒットはしませんでした…)。

映画の内容は---2154年、地球上空には何万人も居住可能な「エリジウム」という広大な衛星居住地が浮かんでいる。人類はそこに暮らす富裕層と、荒廃した地球に取り残された貧困層とに二分されている。主人公のマックスは地球に住む貧しい労働者。事故により余命5日と宣告された。彼は、エリジウムにはどんな病気でも治すことができる特殊な装置があることを知った。そこで、一般庶民の出入りが厳しく制限されているエリジウムへ潜入を試みる---といったものです。

この映画を観て我々の心に刺さったのは…どんなケガも病気も治ってしまう「特殊な装置」…。普段なら、映画を観終わると、皆、わいわいやりながら、それぞれの家路につきます。そして、また勉強を始めるわけですが、その日の帰り道は、いつもと違い皆おとなしい。私がつい「あんな装置があるといいね」などとつまらないことを言ってしまいました。すると、よけい、しらけた感じになってしまいます。皆、医者になるためにへとへとになって勉強し、久しぶりの気晴らしで見た映画が「医者を必要としないすばらしい世界!」を描いたものなのですから…、まあ仕方ありません。

これは2013年に見た映画ですが、冒頭で述べたようにまさに今、本当にそういった方向に向かっている現実があります。AI、およびロボット技術の急速な進化が、近い将来、我々の生活様式、様々な職種に大きな変化をもたらすものとされています。

AIに関しては、それによって弁護士や会計士などのホワイトカラーの仕事がなくなるといわれています。現実に最近の経済統計によると、専門家といわれる人たちの求人が少なくなっているのだとか。弁護士は分かりませんが、金融ではアナリストと呼ばれる金融・経済分析の専門家の求人件数が顕著に減少しているとのことです。

映画で描かれた世界に戻って、現実に我々の医療分野でも将来の景色が大きく変わりそうです。たとえば病気の診断というのはAIが得意とする領域です。あと数年もすると、もはや医者の診断能力はAIに勝てなくなるとされています。そして診断の次に治療となりますが、それも看護師とAIロボットさえいれば問題ありません。そうなってくると現在、地方の医師不足などがいろいろな報道で指摘されていますが、この問題も一気に解決されそうです。

これからの10年~20年で、患者の皆さんにとっては夢のような世界がやってきそうです。少なくともAI医者は人間の医者と違い、患者に威張ることはありません。ですから24時間、いつでも気楽に受診できます。またAI医者はきわめて能力が高いわけですから、その診断結果はどの人間医者より信頼できます。それでいて、AI医者の場合、要求する報酬(給料)は電気代だけですから治療費が安くて助かります。

歴史を振り返ってみると、過去の産業革命期(第一次~第三次)からもわかる通り、いろいろな職業がなくなっては、新たな職業が生まれてきました。そして、その都度、人々は不安な気持にさいなまれてきました。しかし、いずれの時も、結局、人々は時代の変化にうまく順応し、結果的に皆それなりに幸せに過ごせてきたのも事実です。

今後、どうなるかは本当のところわかりません。しかし、今後どうなろうと、なるようになります。ここまで読んでくれたあなた…もしお医者さんならありがとうございます。そう悲観せず、一緒にがんばっていきましょう。

石井院長
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