パラレルワールド
Parallel Worlds — The Universe of Your Own Choosing
あなたにも経験があるでしょうか。不思議な体験。・・・一度、あるところに行き、しばらくしてから再び訪れると、それは見当たらない。そもそも周囲の様子も違っている。短期間のうちに"何か工事が入った"とかいう感じではない。「絶対そこにあったはずなんだけど…おかしいな」と思いながら、周囲の人に言ってもたぶん信じてもらえなさそう。それに大したことでもないので、「まあ、いいか」とやりすごしてしまう。
『パラレルワールド』という、SF好きな人々が時々話題にする世界があります。それは「私たちの世界と並行して存在する」と考えられる別の世界を指す概念です。単にSFの世界というだけでなく、量子力学の『多世界解釈』などの議論にも結びつけられる世界です。
「絶対記憶違いなんかじゃないし、おかしいな…」。そういった過去の自分にあった不思議な体験も「ひょっとして、パラレルワールド?」と考えると、ちょっと面白くなってきそうです。
この『パラレルワールド』が世の中で有名になったきっかけの一つとして、"マンデラ・エフェクト"が知られています。ネルソン・マンデラは1918年に南アフリカで生まれ、人種差別政策『アパルトヘイト』に反対して活動した人物です。1964年に国家反逆罪などで終身刑となり、27年間を獄中で過ごしました。1990年に釈放された後は和解と民主化を進め、1994年に南アフリカ初の黒人大統領に就任し、1999年まで務めました。『差別の克服と平和への貢献』で、世界に大きな影響を与えた人物です。実際は2013年まで生きたわけですが、「1980年代に獄中死した」という記憶を持つ人が大勢現れた、という現象が起こり、2010年ごろ、話題になりました。
我々の世界は、ある時、二つ(あるいはそれ以上)の世界に分岐する。それぞれ似たような世界であるも、微妙に異なる世界。そして、その分岐が繰り返されると、世界はその積み重ねで、大きく違ったものに変わっていく。
はたして、このような世界があるかどうか、検証のしようがないので、否定も肯定もできません。ただ、個人的には「あってもおかしくはないかな…」と思っています。2000年頃、私はトランプの自叙伝を翻訳したことがあります(訳者名はペンネームです)。日経BP社から、5000部発行したのですが、評判が極めて悪く、ほとんど売れませんでした(アマゾンの書評は"酷評"でした…それは翻訳者の私のせいではなく、トランプのせいです^^;)。その本の中で彼は、「大統領なんかに出馬する意思は全くない」と断言していたのです。しかし、皆さんご存じの通り、今、彼はアメリカ大統領をやっています。しかも、やってることがちょっとハチャメチャ。翻訳した当時、トランプファンだった私も、それをみていて、「こんな大統領のいる今って…、自分が住んでいるこの世界は本物か?ひょっとしてパラレルワールド?」と疑ってしまうことが時々あるのです。
今、あなたは、どのような暮らしをしているでしょうか。たとえば、奥さんがいて、子供が二人いて、会社で事務部門の主任をしている。平凡であたりまえな現状、と思っているかもしれません。けれど、実はあなたはこれまで、日々、選択を数限りなく繰り返してきました。これまで合計、何万回もの分岐を経て、今のこの世界にいるのかもしれません。あなたが、生まれたところ、そこは、とある産婦人科の病院でした。お父さんがいて、お母さんがいて、そして、成長して、あなたは意思を持つようになった。そこから分岐がスタートします。あなたは人生で何気なくも、日々、何らかの選択をします。今日は何のテレビ番組を見るか、朝ごはんにふりかけをかけるか、いや、かけるのは生卵にするか…。
成長していくと、進学先の学校をどこにするか、仕事は何の業種にするか、働く企業はどこにするか、職場にかわいい女子が3人いるが、どの子とつきあうか…。人生、最期を迎えるまで、選択の連続。人生とは選択です。そしてそれによって、自分の住む世界が決まっていきます。なので、今のあなたは、過去の数々の選択の上に成り立つ世界に住んでいる。ここは、数ある選択肢の中から選ばれたパラレルワールドの一つかもしれないのです。
あなたが常に前向きで、ひたすら上昇志向の選択肢を選び続けるなら、今は50億円の豪邸に住み、超美人の奥さんと、10人くらいの賢い子供たちに囲まれ、世界中に保有する別荘に、プライベートジェットで、好きな時に遊びに行っている『パラレルワールド』の住民だったかもしれない。
逆にあなたが常に後ろ向きで、負の選択肢ばかり選んでいると、今頃はホームレスで、東京の上野公園の住人という『パラレルワールド』に住んでいたかもしれない。その世界では、付き合う仲間もみなホームレス。皆、段ボールや青いテント暮らし。皆でカップラーメンをすすって腹を満たす。たしかに、それでも楽しく過ごしているかもしれません。しかし、かたや大金持ち、かたや超貧乏。同じ人物なのに、まったく違う世界の住人。それこそまさに『パラレルワールド』。
「努力して自分の未来を切り開いていく」となると、かなりの労力が必要になります。しかし、自ら未来の世界を切り開いていくのではなく、すでにあなたの前に無数の世界があって、「そのどれにするかを選択するだけ」…だとしたら、どうでしょう。今後の人生を作っていくのは簡単そうじゃないですか。将来のなりたい自分のイメージがあるなら、それはすでに存在しています。それは、すでに存在している無数の『パラレルワールド』の中の一つです。50億円の大豪邸に住む自分、かたや上野の公園でブルーシートで作ったテントの家でカップラーメンをすする自分。どちらも、すでに存在している。そしていずれも、あなたそのものです。無数に分岐された、あなたがいて、そのどれにするか。必要なのは、ただ選択すること。それだけです。自分の理想とする未来イメージに向かって、それにたどり着く選択を一つ一つし続けるだけでいい。ただそれだけで、確実にそうなれる。それがパラレルワールドの世界だとしたら、どうでしょう。
さあ、今も世界は分岐していってます。今日、あなたはどちらの自分を選びますか?
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