18歳と81歳の違い
The Gap Between Youth and Age — And What Stays the Same
先日、田舎の古い温泉宿に行ってきました。その時、風呂上がりの休憩室の模造紙に書かれていた作品集『18歳と81歳の違い』を紹介しましょう。
・18歳と81歳・・・こんなに違うと思うのが18歳 そんなに違わないと思うのが81歳
・道路を暴走するのが18歳 逆走するのが81歳
・心がもろいのが18歳 骨がもろいのが81歳
・偏差値が気になるのが18歳 血糖値が気になるのが81歳
・受験戦争を戦っているのが18歳 病気と闘っているのが81歳
・恋に溺れるのが18歳 風呂で溺れるのが81歳
・まだ何も知らないのが18歳 もう何も覚えていないのが81歳
・自分探しの旅をしているのが18歳 出かけたままわからなくなるのが81歳
・嵐というと松本潤を思い出すのが18歳 嵐というと鞍馬天狗の嵐勘十郎を思い出すのが81歳
・恥じらう姿が美しいのが18歳 羞恥心がなく腹が立つのが81歳
・年賀状が増えるのが18歳 喪中のはがきが増えるのが81歳
・オリンピックに出たいと思うのが18歳 そこまで生きていたいと思うのが81歳
作者は『香いちろう』さんという81歳の方のようです。ご本人のことは一切知りませんが、地方で活躍されている方でしょうか。面白いけど、ちょっと自虐的かな…そんな感じがしました。81歳ということですが、作品から感じられる作者のイメージはもっと若い。一般にちょっとした文章でも、そこから書いた人のイメージって伝わってくるものです。これら文章から見える作者の姿は80代というより50代くらいでしょうか。年齢を偽っているのか、あるは、本当に81歳なのか…どちらでもいいのですが、偽りでないとすると、かなり若々しい方と言えるでしょう。
香いちろうの作品ではないですが、人は年をとっても意外に自分のことは変わっていないと思うものです。私が若い頃、当時、40台になったタモリが言ってました。「性格や考え方は若い時のまま。年をとっても20歳のころと同じ。成長しないんだよな」と。当時は「そんなものかな」と漠然と思ってました。実際、年をとっても心や考え方といったものはそう簡単に老けたりはしません。精神的には変わらない。ただ、肉体だけが衰えていく。そのため、人は若い頃のことを思い出しては、懐かしさのあまり今を嘆く…そんな感じでしょうか。
ところで、昔って、楽しいことが多かったような気がします。私が大学生(工学部)の頃、アルバイトで20万円ためて、初めて自動車を買ったときは最高にうれしかった。中古車屋さんに行くと担当のおじさん(多分当時30代)が出てきたので
「20万円で買える車ください」
「わかった。ちょうどいいのがあるよ」
と言ってくれました。その即答がまたうれしかった。そして売ってくれたのが派手なレモン色のファミリア。自動車本体価格+その他税・手数料に任意保険すべて含め、総額ピッタリ20万円にしてくれました。
レモン色…そもそも見た目が目立つというか、今からすると、ちょっと恥ずかしい感じの色合い。そのため、買い手がつかなかったんでしょう。友達にもからかわれました。でも当時の私にとって、それはどうでもいいこと。車が届いたときはうれしくて、うれしくて。さっそく彼女を助手席にのせてドライブに出かけたものです。ギアチェンジはマニュアル式で時々交差点でエンスト。ハンドルは今のようなパワステではなく、カーブを曲がるときは力が必要です。エアコンなどもちろんなし。夏は窓をすべて開け、助手席の上のサンバイザーに挟んだ団扇で暑さ対策。暑い時は助手席の彼女がそれで風を送ってくれます。ラジオはあるけど、オーディオなどなし。そのため、古くなった乾電池式の小型カセットテープデッキを車の前の座席下中央に針金でくくりつけ、カーオーディオ完成。アパートで録音した松田聖子の曲なんかをかけながらお決まりのデートコース。琵琶湖までドライブしたものです。お金はないし、彼女も美人じゃないけど、楽しかったあの頃。今でも思い出すと楽しい思い出。
あなたにもあるでしょう。そういった昔の楽しい思い出。だけど多くの人がその楽しい思い出にセピア色のフィルターをかけてしまいがちです。「あの頃は楽しかったな。それに比べ今は…」などと黄昏る人、多いですね。しかし、今も昔もあなたの本質は何も変わっていません。ただ、あなたの顔にはしわが増え、いくら美人を見ても恋愛感情が起こらなくなってしまっただけのこと。かつて、恋をしていたあなたがいました。夏の日をあびて青春を謳歌していたあなたがいました。いつでも記憶の中で、今、この瞬間、昔のあなたはよみがえります。黄昏てなんかいないで、自虐的なことなんか言って自分をごまかさないで、今、それを楽しむのって、いいんじゃないかな。

